JICA

日加学園は、独立行政法人 国際協力機構(JICA)による「日系社会次世代育成研修(中学生招へいプログラム)」に参加者を派遣しています。

同研修は、海外の日本語学校に在籍する、成績優秀かつ品行方正で、将来の日系社会の発展に貢献するのに十分な素質のある日本語学校の生徒を対象にしたもので、中南米地域の日系の生徒たちと共に、日本に約3週間滞在し、日本人の移住の歴史や日本の文化を学んだり、中学校への体験入学やホームステイをすることにより、日本に関する理解を深めることが目的です。

以下は、過去の日加学園からの参加者による感想文です。具体的な応募手続き等については、当学園の保護者の皆様あてに説明会を行う予定です。


「カナダ人がイメージする日本は真実なのか?」  角野 公美

2023年9月20日掲載

私は小さいころから日本についての質問をされ、この言葉をいつも考えてきました。例えば日本の学校はカナダの学校とどう違うのか、なんで日本のトイレはいつでも綺麗なのか、数えきれないほどのぎ問がありました。でもその謎は研修で中学校の経験と環境学習を受けた後、解明できたように思います。
日本の綺麗さは環境の一つの要素です。カナダ人と海外の人々はこの日本の綺麗さを当たり前と思っています。でもこの研修ではいつもそうとは限らないことを学びました。実は昔の日本は、散らかっていました。道ばたは、物だらけで大変だった事を知りました。そして、海外の人たちにこの日本を見せたくなかったということがきっかけで、国を綺麗にする事に努めました。それから、日本は14のゴミの分別を作ったりして、今の日本に進化しました。この事を知り私は、日本人の考えと社会について色々理解できたと思いました。だから日本の綺麗さの秘密を知りたいカナダ人に教えて日本の知識を広げたいと思いました。

中学校へ向かう時、バスから降りた汗でびしょぬれの私はふと感じました。ピアノの発表の前の気持ちとまた違う。まるで、その学校がマグネットのように自分を引っ張ろうとしたような気持ち。ウキウキした気持ち。そして、そのウキウキは止まらなかったです。教室に入ると日本の生徒のみなさんはとても元気でした。私が期待していたことと違いました。私とカナダ人が思っていた日本の学生は真面目で静かでした。でもこの見たことのないイメージを見て「私は1人じゃない、みんなおなじなんだ」と言う言葉が頭にうかびました。どんどん話していくほどカナダの学校との違いがさらに見えてきました。まず、環境の違いにびっくりしました。例えば、プレゼンテーションの時には漢字ミスがあることを知りながら、自信を持って発表できました。しかしカナダでは恥ずかしがってミスをしていたと思います。私はこれがカナダと日本の違いを明らかに表していると思います。つまり、日本の学校は他人が自分のことをどう思うのかとかミスをしたらいけないとかを、思ったほどあまり気にしない環境だと思います。この環境をカナダにも持っていきたいと思っています。
このように、カナダ人がイメージする日本はげんじつと違います。真実の日本を理解するためには日本の知識をもっと広げたらいいと思います。この研修を終えて、私はカナダ人に日本の知識を広げて、真実の日本をもっと知ってもらいたいと強く思いました。


「日本とカナダのくらしの違い」 四宮 隆太

 ぼくは飛行機を降りた時
「ああー地元へ返って来た。」
と思いながら心がなつかしさであふれました。ぼくは日本人です。ぼくは日本で生まれ,三才まで日本に住み、今でもカナダと日本の国籍を持っています。けれど、カナダに十年間住んでいて、カナダのくらしになれています。この研修では、カナダのくらしと日本のくらしに大きなちがいがある事が分かりました。ぼくが特に気づいた事は次の三つです。

一つ目は日本の交通のしかたです。ぼくは小さいころ日本に帰ってきた時、おどろきました。車が少なく、道もカナダとくらべたらとても細かったです。そして、ほぼみんなが地下鉄で会社や学校へ通っていたのです。ぼくはぎもんに思いました。なぜみんなは車に乗らないのか。毎日、毎日バスや電車代をはらうと高くないのか。そう思いながら地下鉄に乗りました。けれど日本の地下鉄はちょっとちがいました。五分から十分ごとに駅があるのです。そこでひらめきました。日本だと地下鉄の方が車より便利なのです。地下鉄の方が安く、日本中どこでも駅があるのです。日本のメインの交通手段だったのです。ぼくが二年ごとに日本に帰って来ると、車を使わずにぼくのような子供も自分でどこでも行けることがすごいと思います。

二つ目は、日本の教育制度のきびしさです。ぼくは、中学校体験入学プログラムで本牧中学校へ行きました。とてもいっぱい思い出を作る事ができました。けれど、ぼくが毎日行っているカナダの学校とはぜんぜんちがいました。日本はとてもきびしいのです。その内一番おどろいた事は制服です。カナダでは、制服を着る学校はとても少ないです。それが、日本だと、どこの学校でも制服を着るのがふつうです。カナダではなんでも着たい物を着ていいと言うリラックスしている制度と。日本のみんなと同じかっこうで学ぶという考えが、とてもちがうと思いました。ぼくはこのなんでもきっちりしているかんきょうになれていないので、日本で勉強するのはとてもむずかしいと思います。

三つ目は日本人のみんなのしんせつさです。ぼくが日本の中で一番驚いたことは事は、日本人はとてもやさしく、相手のことを先に考える事です。日本ではあたりまえと考えられている事だけど、カナダとは大ちがいです。日本では店へはいると「いらっしゃいませ。」などと入るとうれしい気持ちにしてくれます。それ以外に、わすれ物もすぐに返してくれて、とてもしんせつです。カナダでは考えられないほどです。これは、日本の学校では子供のころから、こう教えられているからです。ぼくがこの研修で学んだ事は、日本のくらしとカナダのくらしがまったくちがう事です。カナダとくらべれば、日本はもっときびしくちゃんとしている事が分かりました。カナダのかんきょうで育ったぼくにはとてもむずかしいくらし方でした。カナダへ帰った日、日本のいいところとカナダのいいところを合わせて、他の人をうれしい気持ちにする事をがんばりたいと思いました。


「家族になった私たち。」 トーガス アリシャ

 短い一ケ月でしたが、この研修でいろいろな国の研修生とたくさんの思い出を作ったり、いろんな人に出会えたり、日本のことについて、さまざまなことを学びました。

私たちは一生けん命、日本語の勉強をしたので この研修に行くことができました。私のお母さんは、日本人なので、小さい時から、日本語の勉強をしないといけないと思っていました。それだけじゃなくて、勉強を始めた年は小さかったので、どうして日本語を勉強しているのか、わかりませんでした。だから、このままずっと理由もなく勉強をして、大きくなったら、なぜ日本語を勉強しているのか、困惑してしまうと思います。そして、やる気もなくなっていたと思います。しかし、勉強をつづけているうちに、しだいに勉強をする理由を見つけることができました。その理由は、日本語を習うことが楽しいと思ったからです。そして、日本語の勉強をして、おばあさんやおじいさんやいとこたちと お話をしたいと思ったからです。この研修に参加したのみなさんも、日本語を習い始めた理由は、私みたいに、おうちの人に言うわれたからだと思います。しかし、大きくなると、日本語を勉強する理由が増えてくるので、私たちはこの研修のために努力し、勉強し 参加することができたのだと思います。

この研修の間に、いろいろな楽しい活動をしたり、たくさんの思い出を作りました。私たちの一番好きな体験は、ホームステイと中学校体験入学でした。なぜなら、ホームステイや中学校で、日本人の毎日の生活を見て、体験をし感じることができたからです。私にとっては、中学校体験が一番楽しかったです。なぜかというと、友達がたくさんでき、日本の中学校の難しさを知り、日本の子供の考えを聞くことができたからです。そして中学校の最後の日に、ある生徒が、「さびしくなったら、悲しくなったら、ぼくのことを思い出して」と言ってくれました。本牧中学校のみなさんは本当にやさしくて、お別れしたくなかったです。ときどき、さびしくなった時に、本牧を思い出すことがあります。でも、その時は、もっと悲しくなります。またみんなに会いたいからです。体験入学の四日間で、本牧のみなさんのことを大好きになったので、一ケ月いっしょに研修をしている日系社会次世代育成研修のみなさんと離れるのは、ものすごくつらかったです。だから、本牧のみなさんにも、この研修のみなさんにも、またいつか会いたいと心から思いました。

日系社会次世代育成研修は、もっと長い研修だったらよいな。と みんなが考えていると思います。私もそう思います。毎日が充実し、楽しくとても早く過ぎていくからです。

この短い一ケ月で、私たち研修生 13人は、家族みたいになりました。いっしょに泣いたり、笑ったり、まいごになったこともありました。私たちはいろんな国から来ても、日本語で話ができ、意思を通じ合わせることができて、とてもうれしかったです。私は、研修の最後に勇気を出して生徒代表として、挨拶をしました。研修生全員の感謝の気持ちを伝えたかったのです。これからも、研修のことを そしてみんなのことを忘れはしません。みんなで一生けん命、前を向いてがんばったこと。そして、いつかまたみんなに会えるように、これからも一生けん命 日本語を勉強していきたいと思います。いつかこの体験をいかせるように。